乳がんの根治を目指すだけでなく、失ってしまう乳房を再建で取り戻すことで、患者さん一人ひとりの「自分らしさ」や「生活」、「こころ」も大切にする治療を追求しています。
乳房再建を乳房オンコプラスティックサージャリーとは、乳がんを確実に取り除く「がん治療(オンコロジー)」と、乳房の形を整える「形成外科(プラスティックサージャリー)」を融合させた、新しい考え方の手術です。
がんをしっかり治すことと、乳房を保つこと。その二つは、どちらも諦める必要のない大切なパズルのピースです。この二つが合わさることで、患者さんの心と体の負担を軽くし、治療後の生活の質(QOL)を高めることを目指します。
乳がんの手術で失われた乳房を取り戻す「乳房再建」には、いくつかの方法があります。がんの状態や、あなた自身のライフプランに合わせて、最適な方法を担当医と一緒に考えていきましょう。ここでは代表的な2つの方法をご紹介します。
ご自身のお腹や背中などの皮膚や脂肪を使って、乳房のふくらみを作る方法です。血の通った温かく、やわらかな乳房を作ることができます。体の状態によっては、この方法が選べない場合もあります。
医療用に開発されたシリコン製のインプラント(人工乳房)を使って、乳房のふくらみを作る方法です。自家組織再建に比べて、体への負担が少ないのが特徴です。定期的な検診が必要になります。
豊富な経験と幅広い知識を持つ医師のお話をインタビュー記事としてご紹介します
人工物による再建の
実施施設・責任医師・実施医師
具体的には、乳房温存オンコプラスティックサージャリーと、乳房全切除後の乳房再建です。乳房温存オンコプラスティックサージャリーとは、腫瘍を切除してできた組織の欠損を修正して、手術後の整容性を向上させる(きれいに治す)ことを目指した乳房部分切除術(乳房温存術)です。
痛みや回復にかかる期間は、手術の方法や個人差があるため一概には言えません。しかし、痛みを和らげるための様々な方法がありますので、ご安心ください。多くの場合、数週間から数ヶ月で日常生活に戻ることができます。詳しいスケジュールについては、手術前に担当医から説明があります。
乳がんの手術と、それに伴う乳房再建は、多くの場合で健康保険が適用されます。また、医療費が高額になった場合に負担を軽減できる「高額療養費制度」も利用できます。ただし、使用する材料や個室代など、一部自己負担が発生する場合もあります。具体的な費用については、医療機関の相談窓口にご確認ください。
手術である以上、傷跡が全くなくなることはありません。しかし、オンコプラスティックサージャリーでは、傷がしわの線に隠れるようにしたり、できるだけ目立たない場所に作る工夫をします。傷跡は時間とともに少しずつ白く、柔らかくなじんでいきます。
最も大切なのは、がんを完全に取り除くことです。オンコプラスティックサージャリーは、この「根治性」を絶対的な前提として行われます。そのため、この手術を受けたからといって、乳がんの再発リスクが高くなることはありませんので、ご安心ください。
はい、目的が全く異なります。美容整形が「より美しくなること」を目的とするのに対し、オンコプラスティックサージャリーは「乳がんという病気を治すこと」が第一の目的です。その上で、失われた乳房の形や機能を再建し、患者さんの心身の負担を軽減することを目指しています。